ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド エイジ オブ スカーレット オーダー 15

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概要

『ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド』(Dance In The Vampire Bund)は、環望による日本の漫画作品。『月刊コミックフラッパー』(メディアファクトリー)において2006年1月号より2012年10月号まで連載。

東京湾沖の架空の人工都市ヴァンパイアバンドを舞台に、ヴァンパイアの女王ミナ・ツェペッシュとその従僕である人狼の少年、アキラの恋と戦いを描くアクション作品。ヴァンパイアが国民に秘密裏に日本政府から埋め立て地を買い取り、王国を建設するという基本設定に加え、血を吸うことを拒む「牙なし」が登場するなど、既存の吸血鬼の概念に新たな解釈を加えたヴァンパイア像が話題となった。また、作者の環望が成人向け漫画で執筆していたということもあり、独特のタナトスとエロスに彩られた作品観が描かれている。サブタイトルは吸血鬼や人狼が登場する作品名(『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』、『悪徳学園』など)がオマージュとして用いられることが多い。

この作品はアメリカ、台湾、韓国、タイ、ドイツ、イタリア、フランス、スペインなど多国で出版されている。

『月刊コミックフラッパー』2009年8月号において、テレビアニメ化が発表され、2010年1月より放送された。

2009年8月よりメディアファクトリー公式モバイルサイト「メディファク☆モバイル」にて、作者本人による外伝『ダイブ イン ザ ヴァンパイアバンド』第一部が配信。第二部は2012年12月よりpixivコミックに発表の場を変えて配信されていた。

2012年10月号で「第一部」が終了。同年12月号より幕間劇とも言える「スレッジハマーの追憶」が連載されたのち、2014年1月号から第二部「スカーレット オーダー ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド2」が開始されたが、こちらは2015年5月号をもって終了した。その後2018年5月28日よりTOブックス刊行のwebコミック雑誌comicコロナに掲載紙を移して第三部「 ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド A.S.O.」が開始され、ニコニコ静画、pixivコミックを媒体として現在も掲載されているが、TOブックスが新たにコロナEXを公開したため最新話はそちらで掲載している。新連載に伴い、TOブックス・コロナコミックスより既作品の愛蔵版が刊行されている。

また、作者主催の同人誌において小説による外伝が多数発表されている。書き手は原作者本人ではなくその友人達であるが、全篇に渡り環による監修がなされている上、小説で描かれた人物や設定が度々本編に流用されているため、公式外伝と捉えて差し支えない。

あらすじ

第一部

普通の高校生活を送っていた鏑木アキラ。しかし彼には幼い頃に交わした盟約があった。それは夜の眷属の王・ヴァンパイアの女王に仕えるというものだった。アキラが17歳の誕生日を迎えるその日、アキラの前に現れたヴァンパイアの女王ミナ・ツェペッシュ。彼女はアキラに、日本に来た目的は、日本にヴァンパイア専用居住区=ヴァンパイアバンドを作ることだと告げる。ヴァンパイアの事実を知り激震する人間社会。そんな中、ミナ姫とアキラは誤解と齟齬を繰り返しながらも通じ合い、少しずつ心の距離を縮めていく。だがヴァンパイアの存在を忌避する人間社会、公主家の権益を欲する同族、ひいてはミナの婚約者であるヴァンパイア王家の三大公の巡らす陰謀に曝され、その絆を試されることになっていく。

第二部「スカーレットオーダー」

三支族、そして謎の組織「テロメア」との戦いから七年…。日本はヴァンパイアバンドとの蜜月関係を維持しながらも国際的な孤立状態に陥っていた。 アメリカをはじめとするヨーロッパ諸国にボイコットされた東京オリンピックの開会式において新たに起きたテロ事件。来賓として訪れたミナ・ツェペッシュを人質にせんとしたテロリストだが、開会式その物がミナの仕掛けた罠だった。 そんな中、7年前崩落した富士風穴の奥底から「さぶろう」という謎の男の協力で行方不明だった牙なし300余名が帰還し、それに呼応するように東京埋め立て地の地下から発見された棺桶。ヴァンパイアの渇きを潤す「赤子魂(あかみたま)」と呼ぶ不思議な石が新たな謎を呼ぶ。

第三部「エイジ・オブ・スカーレットオーダー(A.S.O.)」

バンドからヴァンパイアたちが姿を消して半年後。アメリカでは自由教会に支配された影響でヴァンパイアというだけで抹殺の対象とされ、追いつめられた彼らは地下鉄道組織によって救援ポイントまで向かわなければならず、ミナ姫と縁があり、ヴァンパイアに偏見を持たないジェシカとスージーの母子も組織に協力していた。

登場人物

主要人物

ヴィルヘルミナ・ヴラド・ツェペッシュ
声 - 悠木碧
愛称はミナ。一人称は「わらわ(妾)」だが、対外的に(特に人間側に対して)は「わたくし(私)」。ツェペッシュ家の現公主にして、真祖の血脈を受け継ぐヴァンパイアの女王。身長154センチメートル。外見は幼い少女だが1575年生まれであり400有余年の長い年月を生きている。アキラに恋する少女としての姿や臣民を思いやる保護者としての側面を持つ一方で、時と場合によっては為政者として非情な決断を下す苛烈な性格も持ち合わせる。だが本質は前者であり、そのために多くの局面で本意ではない苦渋の決断を迫られる事となる。 顕身により、母ルクレツィアに生き写しの美女に変化する事が可能だが、その事実は固く秘匿されている。顕身により変化した際は、蝙蝠のような翼が生え、半身が皮膜のようなもので覆われる(翼は顕身せずとも生やすことは可能)。 真祖の血を引く最後の女性であり、ヴァンパイアの血統を守るため同じく真祖である三支族のいずれかと婚姻を結ばねばならぬ宿命を負っている。ミナ自身はアキラに深い愛情を寄せ、従者として側に置くが、ミナが女王の使命を捨てぬ限り「生涯結ばれぬ仲」のままである。 臣下である三支族の反乱により母を害され、女王の座を受け継ぐが、国土を奪われ、永らく支族の長たる三大公の支配のもと忍従を強いられて来た。 だが、その統率力とカリスマ性により家臣団を組織し、新たな国土ヴァンパイアバンド建設を成し遂げ、三支族を始めとするあらゆる敵に立ち向かう。 パイド・パイパーに冒された際には、ヴァンパイアが存在しない世界の夢を見続け、生命の危機に陥る。その夢の中では人間として生きており、年齢も外見相応で、身体も成長するようになっていた。普通の人間として幸福な生活を続けるが、アキラとの結婚式の直前になって、現実世界からのアキラの呼び掛けに応え、夢から目覚めた。 アンジーの裏切りにより、顕身に関する情報が漏洩したため、バンドに攻め込んできたイワノヴと決着を付ける。その直後、「テロメアの盟主」を名乗るミナに瓜二つの少女によって極秘裏にローゼンマン大公家に引き渡された。大公家ビルを襲撃した謎の人物(シルエットのみ、コルトSAAの二丁拳銃を持つ男)の影響を利して虜囚の状態から一時は離脱するも、庇護してくれたジェシカ、スージーの母子を人質に取られ、再びローゼンマンの許へ下る。 囚われの身となりながらも辛抱強く機をうかがい、潜入していたアキラと共に脱出するが、監禁中の疲労から倒れてしまい、自ら血をささげたアキラに牙を立ててしまう。アキラの体内のアポトーシスが作動する前に抗体ワクチンを手に入れるべく再びローゼンマンの城に向かった際、地下洞窟の奥深くに原始ヴァンパイアの都「ネクロパレス」、そしてヴァンパイアの歴史上最初の女性を発見する。しかし直後にネクロパレスの防衛装置、そしてローゼンマン部隊の襲撃に遭うもアキラや元老院たちの活躍に乗り脱出。この際に元老院たちに自身の髪を手向けている。 その後アルプス山中のベルガマスク研究所を経て混乱する日本へ電撃帰国。都下のヴァンパイア騒乱鎮圧と平行して、ヴァンパイアバンド奪還を指揮。自ら先頭に立ってバンドに降り立ち、ついに王国を取り戻す。 逃亡したテロメア盟主を追って富士山麓地下に進入、顕身した盟主をアキラとの連携で撃退。永きに渡る対決に一旦の終止符が打たれるも、アルフォンス、ヴェラ、元老院、そして多くの牙なし達と、その戦いで失われたものはあまりにも大きかった。 なお第一部ラスト近く、テロメア盟主が崩壊を始めたクレイドルを前に、ミナ姫に対して「(聖地が受け入れるのは)純潔のツェペッシュの女であるお前だけだった」と発言している事から、一応こちらがオリジナルのミナ・ツェペッシュである模様。 第二部において、明らかになった謎の物質「赤子魂(あかみたま)」による影響で肉体に変化が起こり、人間化している。変化は味覚から紫外線に対する耐性、代謝の活性化から成長の兆しなどが確認されているが、更なる変化の過程に過ぎない不安定な状態だった。クレイドルに安置されていた赤子魂の本体と接触し、そのエネルギーを受けて完全覚醒する。

鏑木アキラ(かぶらぎ アキラ)
声 - 中村悠一
ミナ姫に仕える人狼の少年。一人称は「俺」。フルネームは暁・鏑木・レーゲンドルフ。名前は作中やアニメ公式サイトなどにおいて主に「アキラ」と表記されており、「暁」の表記は原作第31話「男児當自強」が初出。 10歳の頃にミナ姫と出会い(赤ん坊の頃にも出会っているがアキラ本人は覚えていない)、彼女の側にいる事を約束した。 17歳の誕生日を機に、ミナ姫の側仕えになる。現状のままでは結ばれぬと知りつつ、愛する「姫さん」のためあらゆる逆境に立ち向かい、傷つきながらも戦士へと成長してゆく。 幼い頃からベイオウルブスとしての訓練を受けており、白兵武器(サーベル、棍、槍など)や火器(拳銃、ショットガンなど)を使いこなし、体術にも長ける。匂いによって10種類以上の爆薬を識別可能だが、爆弾を解除する技術は習得していない。 自炊生活が長かったので料理もある程度こなし、味覚も鋭い。「料理は基本」が信条。 かつては明るく社交的な性格だったが、試練の儀を受けた頃から他人(人狼やヴァンパイアではない普通の人間)に対してある程度の距離を置くようになり、笑わなくなった。 由紀からの告白も断っているが、彼女から誕生日プレゼントとして贈られた銀の指輪を常に身近に置いていたり、幼馴染である僚平との仲が険悪になりかけた際にも「(僚平からどう思われても)自分は僚平を友達と思っている」といった旨の発言をするなど、他人と関係を持つこと自体を嫌っている訳ではない。 父親に反発することもあるが、ミナに言わせれば似たもの親子。 イワノヴとの戦い以降、ミナ(偽物)の動向に疑問を感じていたが、由紀からの必死のメッセージで入れ替わりを確信、アキラ(旭)や佐治、浜の手を借りてヴォルフや偽ミナ自身からそれを確認した後にバンドを脱出。情報を求めてアメリカに渡る。 浜の伝手で知り合ったCIA職員やジェシカから、ローゼンマンに囚われているのが本物のミナだと確信、救援のために南米に向かう途中、乗り込んだヘリが撃墜され死んだと思われていたが先行して潜入していたななみのサポートでローゼンマンの城に潜入、メイドに変装して「シノ」と名乗りミナの前に辿り着いた。同様にななみのサポートで破壊工作を行うメイド隊とも合流し、城を脱出するが途中体力が低下していたミナを回復させるために自らの血をささげ、ヴァンパイアウイルスに感染してしまう。しかし突然謎の覚醒を起こし、以前とは違う半人半獣の姿でミナを助け出した(この際の遠吠えはアンジーも「聞いたことがない」という。元老院の面々はこの原因の理由を知っていた様子だがこの直後に詳細を打ち明けることなく死亡している)。また、ヴァンパイアウイルスに感染しているにも関わらず日中も問題なく活動している。 テロメア盟主とのバンド奪還の戦いの後、3ヶ月遅れで高校を卒業。ベイオウルブズに正式に入隊、百卒長(中隊長クラス)に任命された。 第二部では精鋭遊撃隊「狼少年(ウルフボーイズ)」リーダーとしてミナの護衛を務める。前作においてヴァンパイアウイルスに感染した影響か成長が停滞しており、背が伸びないのが悩み。元老院での徹底したDNA調査の結果、細胞のテロメアが消滅しており無限に再生する「不老不死」となっていることが明らかとなる。A.S.O.では千卒長と呼ばれ、第一部での活躍が訓練生たちの間では伝説化している。 作者曰く「いいやつに見えるけど結構わがままでやなやつ」「あいつは俺様」(理由は由紀に対する接し方)。 ミナがパイド・パイパーで見た夢では彼が年上になっており、後にミナが通う高校の教師となっている。その後、結婚式も行うはずだったが、直前に彼女が目を覚ました。 巻末のおまけ漫画では自身の性格と由紀が書く小説のせいで損な役回りが多い。子供のミナの裸を見て赤面するなど、くだけた一面がある アニメ版では1年前のある任務が原因で記憶喪失となっており、作中で徐々にミナとの約束や自らの出自、そして任務で自分が見た「真祖の遺産」に関する記憶を取り戻していく。

三枝由紀(さえぐさ ゆき)
声 - 斎藤千和
アキラの同級生。一人称は「私」。学校では文芸部に所属しており、生徒会役員も務める。 アキラに恋心を抱いていたが、告白を断られた事やアキラとミナの強い絆を知った事で身を引く。が、その後もアキラと友人としての交流は続き、ミナとも「腹心の友」の間柄となった。ウルフボーイズの面々からもミナの良き友人として信頼されている(アニメ版では、記憶喪失のアキラをお世話する口実で一緒にいる事で満足し、指輪を渡しただけで告白は勇気がなかったのかしていなかった。そして記憶が戻りかけたと知った時、かなりショックだった様子)。 趣味でBL小説(主人公のモデルはアキラ)を書いており、その作品がめぐりめぐってヴァンパイア(主にメイド達)の間で大ブレイクしたため、彼女等から「マエストロ」と呼ばれる事となった。 アンジーの襲撃により一時重体に陥るが、改良型パイド・パイパーで一命を取り留める。しかし怪我の後遺症で喋れなくなり、パソコンを介して会話する。ミナと決めた暗号に気付かなかったことで偽ミナを見破るが、身動きが取れない状態で軟禁される。そんな状況でも赤外線入力機能を持つ眼を利用してアキラに真実を伝えた。 テロメア盟主とのバンド奪還の戦いの最中に言語機能を取り戻した後、3ヶ月遅れで高校を卒業。大学へ進学の予定。 アルフォンスからもたらされた情報からヴァンパイアのの存在が世界各地の歴史に根づいていた事を突き止めた。 第二部では杖が必要ながら運動機能も回復を見せ、ミナ姫の片腕として働きながら大学院に通い、ヴァンパイアの歷史と各地の伝説を検証している。シンヴァをはじめ、新生ウルフボーイズからも大人気のマドンナとなっている。赤子魂の欠片によって中途半端に変化したミナを救う方法を知るための取引をした結果、偽ミナことケティ・モーリスと同行することとなる。A.S.O.ではケティと共にアマゾンのネクロパレスや李大公家との交渉に同行するが、紆余曲折の末ケティを守るために劉と協力して冰冰(依り代)を射殺。手駒となる兵を真祖に奪われ、由紀の手を汚させたことに絶望したケティに置き去りにされる形であったが、ミナたちの許に帰還した。 作者曰く「男が理想とする可愛らしい普通の女性」。 ミナがパイド・パイパーに冒されていた際に見た夢の中では、小説家として成功しているようで、(ミナの夢の中の)ネロ曰く「コミケで島ができるくらい」とのこと。

ヴァンパイア

ヴァンパイアバンド

ヴェラトゥース
声 - 甲斐田裕子
通称ヴェラ。フルネームはヴェラトゥース・カルメンシータ・ラガシュ。ミナ姫の側近で強い忠誠心の持ち主。元は人間だが、ルクレツィアを慕って自発的にヴァンパイアとなった。武器として隠し持ったナイフを用いる。A.S.O.時点で470歳。 顕身により体を黒い霧状に変化させる事ができる。テロメア盟主のバンド支配に対して自身の忠誠に疑問を感じてしまう。奪還戦の最中、ヴォルフを牢から解放した後、顕身で自分自身を封印してしまった。ヴォルフは「それほど自分が許せなかったか」とその行為を見て漏らしたが、いかなる理由でヴェラが自分を封印したかは不明である。なお眠っているように見えるが意識はあるようで、第二部1巻のオマケ漫画ではネリーたちの愚痴やいたずらなどに対して自分自身を封印している石に亀裂を走らせて怒りを意思表示していた。ケティに追いつめられたミナを救うべく自らを解き放った。 ファンかどうかは不明だが、彼女も由紀の小説を読んでいるようである。 ミナの夢の中ではヴォルフの秘書を務めていた。愛蔵版3巻描き下ろしの回想編では元々はジプシーの出身。地元民の嫉妬からくる訴えで起きた魔女狩りに遭ったところをルクレツィアに救われて引き取られた。 ルクレツィア
ミナ姫の母親。先代ツェペッシュ家公主。およそ400年前に起きた三支族の反乱により命を落とした。 イワノヴの言によると、彼女が、当時いた真祖の支族全てを袖にして父親の判らぬミナを産んだ事が、内乱を含めた全ての始まりであるらしい。 三支族達は彼女の「討伐」は君主の義務を放棄した者への懲罰と、ヴァンパイア社会の内乱を収めるための正当な物と主張する。 ミナの夢の中では往時と変わらぬ姿で生きており、思わぬ再会を果たしたミナは涙を流して喜んでいた。愛蔵版4巻描き下ろしの回想編では成長して自身より年長な容姿となったヴェラに「2人きりの時はお姉さまと呼ぶこと」と命じるなど可愛いところもあった。 アルフォンソ・メディチ・ボルジアーニ
声 - 黒田崇矢
通称アルフォンス。ツェペッシュ公主家配下の門閥貴族の筆頭にしてミナ姫の側近。爵位は侯爵。 ゴスロリ少女の集団を侍らせ、キャデラック・デビル・コンバーチブル(アニメ版ではアルファロメオ・スパイダー)でバンド市街を流す伊達男。また、園芸の趣味も持つ。 その洒脱な風体とは裏腹に、公主家を巡る影の任務に従事し、ミナ姫の利益となるなら、どんな荒事もやってのける。 テロメア盟主がミナ姫と入れ替わった際、自分こそ真のミナ姫である旨の主張に同調して公主家簒奪(入れ替わりが真実であるなら奪還)に協力、以降彼女の手足としてバンド支配を実行する。ミナによって起されたバンド奪還の戦いの際にはアキラ(暁)と対決。敗北の後、全ての責任をとって自らを「反逆者」とした。 200年前。少年時代にミナと出会い惹かれるが、行方知れずとなったミナを20年かけて探し当てた際、守るために顕身を果たした。しかしヴァンパイア貴族として覚醒したことで(主である)ミナと結ばれる事はかなわぬことを思い知るという経験をしている。父親の後を継ぎ、公主家の諜報を取り仕切っていたが、その仕事を心底忌避しており、収集した資料も見たくないがために全て記憶していた。彼の死後、およそ400年分に及ぶ「まったく整理されていなかった資料」の分類・データ化をはじめたが、担当者からしていつ終わるのか見当もつかないとのこと。 愛蔵版4巻の回想編では、ルクレツィアから「アルフォンス」と呼ばれる彼の祖父(先々代ボルジアーニ侯)と思しき人物が登場している。 ジュノー・デルマイユ
声 - 藤本譲
ツェペッシュ公主家配下の門閥貴族の筆頭の一翼。爵位は侯爵。 モノクルをかけた猛禽を思わせる容貌。 特権意識の権化で、公主家一門を私物化し、その権益を蚕食するのが当然の権利と心得る。ミナ姫の側近達に対しても、その出自をネタに公然と侮辱の念を顕にし、ヴェラを婢女(アニメ版では「腰巾着」)、ヴォルフを犬、アキラを色子などと呼んではばからない。その反面、三支族相手には畏れを隠せず、及び腰で拝謁していた。 バンド建設がヴェラおよびヴォルフら側近のみの手で行われた事に憤り、その実権を握るべくバンドに乗り込んでくる。一時はテロメアに利用価値を見出し内通していたが、ミナ姫に内通をかぎつけられると、災禍を避けるべく絶縁した。 アニメ版では、ジャン・マレイの死後から出番が減り、原作ほど目立たなくなっていった。 ジャン・マレイ・デルマイユ
声 - 成田剣
デルマイユ候の嫡子。顕身により、巨大な蝙蝠のような姿に変化する。 バンド建設をヴァンパイアによる全世界支配の幕開けと位置づけ、若いヴァンパイア達を結集。新世界秩序の確立をミナに説く。しかし、「ヴァンパイアが至上、地の一族を排斥、人間を食い物」とする構想をミナが受け入れるはずもなく、激昂してミナに襲い掛かるも謀反人として処刑される。後にその行動はテロメアの盟主の企みだった事が明らかとなり、偽ミナ(ケティ)からも「見た目は良いが、頭は蒸かし芋」と酷評されていた。 アニメ版では、ミナからバンド建設の真意を聞かされるが理解を寄せず、アキラの手にかかって死亡する。 スパランツァーニ
ヨーロッパ・アルプス山中に存在する極秘施設「ベルガマスク研究所」を管理する男。「卿」と呼ばれており、A.O.S第3巻書き下ろし4コマによると爵位は准男爵で240歳。 ミスターAB
クレイドルの入り口を守る番人。口ひげを蓄えた初老の男性。 内部に入ろうとする者に対し、悪魔の辞典から引用した謎をかける。 作家だが、100年以上絶筆している。蔵書家でもあり、あんなによく本を貸し出している。 A.S.Oでは水没するクレイドルからの脱出を拒否し、数名のエルダーズと共に残ることを決断する。 明梅(ミンメイ)
タチアナと共にバンドへ亡命してきた少女。 李大公家領内(中国国内)の村出身でイワノヴ大公家から脱出してきたタチアナを匿った。パイド・パイパーに冒されるが、彼女の一族は何らかの免疫抑制が働いたためか暴走を免れる。 タチアナに援けられて一族共々バンドへ亡命してくる。本土側の共同管理区域に収容され、シゲ達「派遣村」の住人達のアイドルになる。 自らを庇い重傷を負ったシゲと他数人をヴァンパイア化するが、彼女が直接噛んだ者はパイド・パイパーに感染しても暴走はしていない。バンド奪還戦の際にはタチアナが確保しようとした事から彼女にも何らかの秘密が存在する模様。 第二部ではネーラたちに代わってミナ付きのメイドとして働いている。意外とお転婆で、屋根裏を探検して見つけた大ネズミを「ミケ」と名付けて飼っている。A.S.Oではバンド水没の際に地上に逃れており、海外からの難民とバンド内で生活していた。アキラの指揮するウルブズ訓練生によって発見される。実は現・李大公と双子の関係であり、親ツェペッシュ派として李大公家を継ぐことを求められる。フィーを狙い活動していたタチアナに会うためにシベリアまで出張ってくるが、李家の手に落ちてしまう。実兄である李大公とは互いに信頼を得たが、逆にミナとの間には齟齬が生じてしまう。軟禁中にシロと呼ぶ喋るネズミと会話していたが、通信妨害で姿を消したこととミナが明梅の居場所はすぐにわかると語ったことから、脳内にインプラントされた仕掛けによる拡張現実機能と発信機が仕込まれていた。監視も兼ねた措置だったが、ネズミの姿で励ましてくれていたのがミナだと知って明梅自身は気にしていなかった。 実母である冰冰に肉体を乗っ取られそうになったが、ミナと李大公の尽力もあって自らの意志によって金色の竜の姿に顕身し、冰冰との対決を制した。 ナスターシャ
クレイドルの住人。ミナ姫専属のカメラマンと自称するが、その正体はイワノヴによって祖国を失った旧ロシア帝国ロマノフ朝最後の一人。フルネームはアナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ。 「ドクター」
ミナの主治医。作中では「ドクター」とのみ呼ばれており、本名は不明。 外見は少女然としてガーリーな雰囲気を漂わせているが、該博な知識を持つ。『スレッジ・ハマーの追憶』では負傷した浜の治療を行い、その身体に関しての所見を述べた。 重体に陥った由紀の診察も行っている。 カズオ・ダニエル・佐治(カズオ・ダニエル・さじ)
バンド内で医者を務める男性。ハワイ生まれの日系2世で年齢は第一部時点で約90歳(見た目は30前後)。第二次世界大戦では衛生兵としての従軍経験を持つ。イワノヴの侵攻によって発生した負傷者の手当てに当たる。 専門は歯科で、「牙なし」の抜歯処置と予後のケアを行っているため、バンド内でも絶大な信用を持っている。 登場当初は「佐知(さち)」と表記されていたが、原作者が発行した同人誌には、ほぼ同じ設定を持つ「佐治(さじ)」というキャラクターが登場しており、本編でも再登場した際こう呼ばれている。 豆吉(まめきち)/清(きよ)
第二部より登場。約200年に渡って江東区深川に住む情報部所属の連絡員。元辰巳芸者で豆吉という名前も所謂「権兵衛名(源氏名)」。化粧で見た目を誤魔化して「祖母と孫娘」として入れ替わりを繰り返しながら暮らしていた。現在は長唄の師匠をしており、土地の者たちからは粋な姐御として慕われているが、一部の人間は正体に気付いている。およそ170年前に来日したアーサーと惹かれあい、彼を待つためにヴァンパイアとなっていた。 ジョン・アーサー・ヤング
第二部より登場。東京湾の埋め立て地から掘り出された棺桶から出現した異形のヴァンパイア。深川近辺に現れ、婦女子に乱暴を働こうとした不埒者を叩きのめしていた。 170年前に密かに来日し、当時の調停者(後藤家の先祖)の伝手でネクロパレスに潜入、赤子魂を手に入れる。謎の男の配下となっていた梶川に騙し打ちされて棺桶ごと海に沈められたが赤子魂の欠片を取りこんでいたため生き延びた。魂を取りこんでいた影響か、かなり人間離れした容貌となっていたが、本来の姿は白人系正統派の美男子で弱い者いじめを嫌う正義漢。来日して受けた接待の場で豆吉と知り合い、一目惚れした。 A.S.O.でも豆吉と暮らしており、バンド外に残った者による臨時行政府をサポートしている。 マック、オニール、ミーシャ、林(ラム)
バンド内において、各支族派閥を取りまとめる相談役。ツエペッシュ系以外からの亡命者も上書きこそ受けているが、それぞれエスニックタウンを作って引き籠り、何かというと自派閥の利益を主張して対立している。クレイドルに避難してからも赤子魂によって血に飢えることこそ無いものの、消耗する支給品や滞在場所に関して揉め続けていた。しかし、ローゼンマンによるプロメテウス停止や、真祖の眷属による危機に際して漸く力を合わせることを覚えた模様。 マックは外見はローティーンだが、戦闘経験もあり実年齢は最年長。だが、周囲の世話役からは子供として見られており後を託される。16巻オマケ四コマでは唯一の世話役として奔走しながら「置いていく方は気楽でいいぜ」と1人ごちている。 オニールはアイルランド出身の炭鉱夫で発破作業の経験あり。事故で炭鉱が閉鎖されたためアメリカに渡った。浸水区域から毒と共に接近する真祖の眷属を抑えるためにマックと協力し眷属を道連れにして逝った。林によるとマックに息子を投影していたらしい。 ミーシャはクレイドルに残ることを決めたエルダーズやミスターABと共に残留し、各系列市民のまとめ役をマックに託した。旧ソ連時代に禁書となっていたミスターABの著作を読んだことがある。 林はオニールの死に対して「自分たちは所詮ヤクザもの、死に様などあんなもの」と言いつつもオニールの気持ちをマックに伝えたが、市民の受け入れ態勢が整わない状況で通路を保護する天幕が破れたのを塞ぐため陽光の下に飛び出して天幕を塞ぎながら焼死した。 ラーマ
VGS第三警備中隊隊長で、階級は中尉。彼の率いる隊50名はクレイドル避難時に地上部の任務(大堤防や本土と結ぶトンネル出入り口の警備および巡回)だったため、地上に残留していた。真祖が現れた際には浜の指揮下に入る。 ゾネンフェルド
バンド行政府情報管制室室長。真祖とのバンド防衛戦においてヴァンパイア市民の地上脱出をフォローするために人間側世話役である僚平を通して協力を要請した。

メイド隊

ネリー
声 - 喜多村英梨
ミナ姫お付のメイド。ミナにぞっこんで、当初はアキラに対して好感情を持っていなかったが、アキラとミナ姫の交歓を目の当たりにし考えを改めた。メイド隊のリーダー格。 仮宮が襲撃された際は、ネーラやネロと異なり武器を用いずに応戦した。銃撃を受けて服が穴だらけ(お尻は丸出し)の状態になっていても気づかずにいたり、少々抜けている時もある。 なお、9巻のおまけ漫画では札震具刃屠(レイジングハート)と書かれたチェーンソーを武器にしている。ただし、本来は『礼』(れい)となる箇所が『札』(ふだ)になってしまっている。 11巻におけるミナの入れ替わりを知った事でネーラ、ネロと共にバンドを出奔。謎の仮面の人物の手引きで脱出する。 ミナの行方を突き止め、ローゼンマンに投降した際にネーラ、ネロ共々「上書き」されてしまうが、パイドパイパーを逆手に取った破壊工作を行い、ななみが持ち込んだDNA培養液で再「上書き」した。アキラとミナを一足先に脱出させた後に何とか脱出した。その後はローゼンマンのおひざ元で【狩り】という名目で同業者(ヴァンパイア)から血を吸って飢えを潤し、その後はヨーロッパ行きの船に乗り込むも実際はエジプト行きであった。なおこのエジプトでも色々と物語があったが割愛されている。 ベルガマスク研究所では一足違いでミナと行き違うが、パイドパイパーの潜伏プログラムを修正する改変プログラムを届けるために活躍した。その後、ネーラ、ネロと共に眠りに就いたヴェラに代わって秘書業務を代行しており、ネリーは政務担当。 ミナに仕える前、ヴァンパイアになりたての頃(1920年代、禁酒法時代のアメリカ出身。A.S.O.時点で120歳)はかなり苦労したらしく、その時の主食はネズミの血であった。また、それが原因なのかは不明だが顕身するとネズミになる。第二部ではその姿を気に入られたのか、明梅の飼いネズミ・ミケにラブコールを受ける。 A.S.O.では、地上への脱出ルートを探すジジたちをネズミの振りして監視していたが、ローゼンマンと遭遇した際に正体を見せた。その後パイプ内を通って地上と渡りを付けた後、ジジたちが取り戻した赤子魂を持ってあんなと共にクレイドルにとんぼ返りした。 ネーラ
声 - 渡辺明乃
ミナ姫お付のメイド。本編での出番は少ないものの、単行本描き下ろしのおまけ漫画やアニメ版の次回予告にあたる「ダンス with the ヴァンパイア メイド」では、ネリー、ネロとともにしばしば主役を務める。 片方の目が長く伸びた前髪で隠れていることが多いが、目そのものが無い訳ではない。武器として大鎌を用いる。 ヴァンパイアになる前は暗殺を生業としており、メイドとしての業務をこなすだけでなく、アルフォンスの元で汚れ仕事を請け負うこともあるが、自分が噛んだ子供に怖がられて凹むなど、結構ナイーヴな所もある。眠りに就いたヴェラに代わって秘書業務を代行しており、ネーラは警備担当。そのためV.G.Sや情報部と関わるが、V.G.Sには人事に関しての口出しを憚られたり、情報部からは「出戻り」呼ばわりされて苦労している。A.S.O.時点で105歳。1

価格:
600円
配信開始日:
2024-08-01 00:00:16
シリーズ:
ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド
出版社:
TOブックス
作者:
環望

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