乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 12

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『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』作品概要

『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』(おとめゲーせかいはモブにきびしいせかいです)は、三嶋与夢によるライトノベル。略称は「モブせか」。イラストは孟達。

乙女ゲームのモブキャラクターに転生した主人公が、ゲームの知識を使って女尊男卑の世界観に抗いながら運命を変えていくストーリーである。「小説家になろう」に投稿されていた小説であり、2018年5月から2024年3月までGCノベルズから書籍版が刊行された。『このライトノベルがすごい!2020』のランキングでは単行本部門の8位となった。

メディアミックスとして、2018年10月から潮里潤によるコミカライズが連載中。また2022年4月からはテレビアニメが制作される。書籍版アンケート特典として3巻から「マリエルート」が公開されており、これを大幅加筆する形で公式スピンオフ小説『あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です』も書籍化され、2023年6月から福原蓮士によるコミカライズが『ドラドラふらっと♭』にて連載中。

登場人物

リオン・フォウ・バルトファルト

声 - 大塚剛央、赤尾ひかる(幼少期) / 小林裕介
本作品の主人公。男爵家の子息。転生者である。前世は要領のいい妹に扱き使われる立場で、乙女ゲームの代理プレイを徹夜でさせられた結果、過労で階段から転落するという最期を迎えた。

身長は小柄ながら、黒髪を短くしており、体つきは引き締まり顔つきも良い。顔には前世の面影も残っている。今世では男爵家の妾腹の三男で、本腹(本当は愛人の子)の長兄と長姉、母が同じ妾腹の次兄と次姉および弟妹がいる。父バルカスの正妻ゾラに金銭目的の政略結婚をさせられそうになったため、冒険者となってゲーム知識を基にロストアイテム(ルクシオン)と財宝を発見するという功績を上げて結婚を回避する。しかし、功績を高く評価されすぎて実家から独立した男爵に叙されてしまい、狂った貴族社会に足を踏み入れることになる。

自他ともに認める小物で、口が悪く金にも汚い。しかし実際にはひねくれているものの優しい性格で、困っている人を見捨てきれないお人好しのため、打算的な理由を自分への建前にしたうえで助けようとすることもある。

ただし、物事の見通しが甘いうえ、ゲーム知識が却って判断を半端に妨げるため、要領が悪く本人の思惑から外れることが多々あり、やり口の杜撰さ・中途半端さをルクシオンに窘められることもある。当人は平穏な人生を望んでおり、出世は望んでいないが、たびたび騒動の中心で活躍するため、男爵から伯爵、さらには侯爵と本人の意思に反してどんどん昇進して重責を背負う身になっていく。

本来のゲームの主人公のリビアや悪役令嬢のアンジェには「自分はモブだからメインキャラとは恋愛関係になりえない」と認識しており恋愛対象として見ないように距離を置こうとしているが、意に反して二人が積極的に距離を縮めて行き、本人が無自覚なうちに恋心を持たれて行くようになる(ただし王族のミレーヌ王妃に告白をするとんでもないことをしでかしており、認識が曖昧)。理想の女性のタイプは「巨乳の優しい女性」で、学園入学当初はアンジェの3サイズを知りたがっていた。

戦闘ではアロガンツを始めとしたロストアイテムの力で徹底的に叩くが、相手の命は奪わない。敗れれば死ぬことを覚悟している(つもりの)騎士たちからは屈辱を負わされたと「外道騎士」の二つ名を付けられる。

ルクシオン

声 - 石田彰 / 白井悠介
リオンの相棒。旧人類が作った移民輸送船の人工知能で、作中世界ではロストアイテムに分類される。赤い一つ目の球体端末という姿で活動しリオンの側に付いている。当初はステルスモードでリオンのみと会話していたが、修学旅行以降はオリヴィアやアンジェリカの前にも姿を見せるようになり、オリヴィアからは「ルク君」と呼ばれている。

乙女ゲームでは高性能な課金アイテムという扱い(キャラクターとしては登場しない)で、それを求めて来たリオンと邂逅する。そして、彼が旧人類(日本人)の前世を持ち、肉体にも旧人類の遺伝子をわずかに残していたためマスターと認め、以降あらゆる面でサポートしていく。半自律型の作業ロボットや探索・戦闘・通信中継を行うドローン、高度な工作システムをもち、物質さえあれば素材も機材も無制限に生産が可能。それらを使ってリオン用の鎧「アロガンツ」やエアバイク「シュベールト」を製作する。

同型艦の中では最後に完成したが、ほぼ同時に開発ドック内のスタッフが環境不適応で全滅したため、待機状態で眠っていた。旧人類を守るという目的から、艦本体に備えられた武装類はあまりにも強力でシャレにならない戦力なので秘匿している。そのため表向きのロストアイテムとして大型船「パルトナー」や「アインホルン」を建造している。自身が手を掛けた機械にはただならぬ思い入れがあるようで、粗雑な扱いや気に入らない相手が乗り込むのを嫌がる。

元々新人類と敵対する立場のため、リオンを含め現生の人間に対してはシニカル。劇中ではやりすぎるリオンに対するツッコミ役であり、素直ではない彼の内面を代わりに読者へ伝える役柄を担う。

オリヴィア

声 - 市ノ瀬加那 / 花守ゆみり
前世の乙女ゲームの本来の主人公で本作品のダブルヒロインの1人。愛称はリビア。碧眼で亜麻色の髪をボブカットにしている。リオン好みの巨乳で健康的な肢体を持ち、「正統派の美少女」と言える容姿。

平民出身だが学園への入学を特別に認められ、学園に入学する。回復魔法の使い手。貴族ではないため、後述する男性蔑視の意識は無い。純真ながらやや天然ボケが激しい乙女ゲーのテンプレな性格で、転生前のリオンからは「あざとい」、マリエからは「頭がお花畑」と毛嫌いされていた。リオンは転生後に直接絡むようになってからは、「凄い性格が良い子だったんだ」と彼女に対する認識を改めている。

後述するマリエによって主人公としての立場を奪われて孤立しており、そこで手を差し伸べに現れたリオンと出会い、一度手助けをされる。平民でありながら、ユリウスら攻略対象たちとの恋愛によって本来ならのし上がっていく流れのはずだが、マリエに立ち場が奪われている為学園内で平民への偏見が変えられずそれが強いコンプレックスへとなっているが、リオンから強い説得によりリオンを恋愛対象として意識して行くようになる。

アンジェリカ・ラファ・レッドグレイブ

声 - ファイルーズあい / 久保ユリカ
前世の乙女ゲームの悪役令嬢で本作品のダブルヒロインの1人。愛称はアンジェ。公爵令嬢で王太子の婚約者。悪辣ではないが、厳格な性格。幼少期より婚約者が定められる高位貴族のため、オリヴィア同様、男性蔑視の意識は無い。輝くような金髪をアップに結い上げ、力強い赤い瞳が特徴。オリヴィアに劣らぬ巨乳で抜群のスタイルを持ち、周囲からも「そこらの男では釣り合わない」と認められている。

本来ならオリヴィアに対してきつく当たるヒール役になる流れのはずが、後述のマリエが主人公の座を奪っているため、ゲーム本来の悪女の影がすっかり失われており、当初からオリヴィアに対して温和に接するようになっている。しかもマリエの腹黒さによって本来の物語以上に窮地に追い込まれており、断罪イベント時に取り巻きを含むほぼ全員に見捨てられてしまい孤立することとなる。

その他の主要人物

マリエ・フォウ・ラーファン

声 - 佐倉綾音 / 種﨑敦美
リオンと同じ転生者。ラーファン子爵令嬢で末娘。漫画版3巻カバー下のルクシオンによる計測では身長は150センチ未満と同年代女子と比べても小柄で、3サイズは70・55・75、アンダーバストは64センチとAAカップの貧乳。腰の下まで届く長い金髪に碧眼が特徴的な美少女で小悪魔的な雰囲気を持つ。小柄な体格を活かし比較的小さな箱の中にも隠れられる。

乙女ゲームの知識でオリヴィアのイベントを先回りして実行し、ゲームでは序盤にもかわらず攻略対象の5人全てとの恋愛を早々と成功させ交際をする。これによってオリヴィアは主役の座を奪われ、アンジェは本来以上の窮地に追い込まれることとなる。表向きは猫を被っているが性格は小物で、口が悪く金にも汚い。またリオンと性格が似通ってる描写も多く、リオンも初対面のうちから『どこかで見た記憶がある』と感じていた。

ユリウス・ラファ・ホルファート

声 - 鈴村健一 / 逢坂良太
乙女ゲーム内の攻略対象の1人で、ホルファート王国の王太子。紺色の短髪。本来は俺様キャラ。

ジルク・フィア・マーモリア

声 - 鳥海浩輔 / 橘龍丸
乙女ゲーム内の攻略対象の1人で、ユリウスに付き従う上級貴族の子息。緑色の長髪。ユリウスとは乳兄弟。気が利き、優しげな雰囲気だが物事の好悪を明言しないため真意が読めず、ゲームでの攻略難度が高かった。ミステリアスな貴公子だが、ユリウスと自身のためなら裏工作も辞さない腹黒な性格。

ブラッド・フォウ・フィールド

声 - 立花慎之介 / 酒井広大
乙女ゲーム内の攻略対象の1人で、広大な土地を有するフィールド辺境伯の跡取り。紫色の長髪で毛先を束ねている。5人の中では魔法が得意だが武芸は苦手で最弱。性格も打たれ弱いのにやたらと前に出たがる。自分の容姿に酔うナルシスト。

クリス・フィア・アークライト

声 - 遊佐浩二 / 藤井達也
乙女ゲーム内の攻略対象の1人で、剣聖と呼ばれる父を持つ伯爵家の跡取り。水色の短髪で眼鏡を掛けている。家の流儀に固執して剣しか使わないため近接一辺倒でその他のことにはあまり興味を持たない。感情表現が下手で、男女問わず気になる相手には素直になれず回りくどい態度をとる。

グレッグ・フォウ・セバーグ

声 - 檜山修之 / 左座翔丸
乙女ゲーム内の攻略対象の1人で、冒険者としての実績を持つ伯爵家の跡取り。赤毛を短く刈りこんでいる。槍を得手としており、自身の能力に絶大な自信をもっているが、逆に鎧などの装備に拘らず旧式の量産品(他の4人は特注品)を使っている。その結果として実力を発揮しきれない脳筋。

ノエル・ベルトレ / ノエル・ジル・レスピナス

2作目の主人公。元はかつて七大貴族と呼ばれていたレスピナス家の令嬢だが、没落しベルトレ姓を名乗っていて庶民としての暮らしが長い。1作目のオリヴィアとは対照的にサバサバとした性格。

バルカス

声 - 新垣樽助
リオンの父で男爵家当主。何かと気苦労が絶えず、普段から農作業に精を出しているため、とても男爵には見えない。以前は本妻ゾラの尻に敷かれていて頼りない印象だったが、実際はいざという時に頼りになる人物。息子が巨乳好きなのに対して女性の尻を好む。

リュース

声 - 川澄綾子
バルカスの妾でリオンの母親。騎士家出身で、育ちは庶民。肝っ玉母さんで、若干ふくよかな体形をしている。気丈に振舞っているが、根はとても優しく、バルトファルト家の女性の中では数少ない良心。バルカスとは相思相愛だが、身分が低く正妻になれなかった。

ゾラ

声 - 折笠愛
バルカスの正妻。王都で暮らしており、領地の運営に関係なく仕送りを要求するが、実際には愛人との子を跡継ぎとしていた。身分を笠に着ているが、自身は男爵夫人でしかなく、公爵令嬢であるアンジェリカの顔も知らなかった。

ヘルトルーデ・セラ・ファンオース

声 - 雨宮天
ファンオース公国の公女にしてゲームの「第1作目」のラスボスである少女。長い黒髪で、白い肌に赤い瞳が特徴的な細身でリオンが憐れむほどの貧乳。

舞台設定

本作品は、リオンが前世でプレイしていた乙女ゲームの世界を舞台としているという設定である。元となったゲームは、恋愛シミュレーションでありながら、RPG要素と戦略シミュレーション要素が混ざっており、さらに戦闘パートが課金アイテム前提としか思えないゲームバランスのため、作り込みに反して評価の低いゲームだった。

空に多くの浮島が存在する世界で、第1巻〜第3巻の舞台となるのは主人公たちが所属する「ホルファート王国」という国である。封建制のような制度を取っている国で、領主用の公爵・男爵といった爵位のほかに、領地を持たない宮廷貴族用の階位があり、一位(国王)から九位(騎士)まで存在する。領主にも宮廷階位は与えられているが、彼らにとっては国王への面会権程度の恩恵しかないため、階位の高さは爵位に必ずしも比例はしない。

冒険者が興した国であるため、冒険を尊ぶ思想を持つ傾向があり、特に貴族は冒険者の末裔であることを誇りに思う者が多い。そのような国柄のため、冒険者の功績とそれに付随する権利は固く保証されている。

また、主人公の成り上がり物語のきっかけにもなった要素として、この国では主に中流貴族を中心に女尊男卑思想が蔓延している。男性貴族は結婚しないと不良物件扱いされるため、結婚してもらうために女性を厚遇しなくてはならない。そのため足元を見た女性側(特に男爵家〜伯爵家の令嬢)は男性に対して尊大な態度をとる傾向があり、結婚後も夫を冷遇する一方で自身は公然と愛人を抱え、ひどい場合は愛人との子を夫に養わせる。しかし、いわゆる男女逆転世界というわけではなく、一家の大黒柱としての役割を課せられるのは男性側のままで、立場だけが女性優位。リオンはこの歪な社会を乙女ゲームゆえのご都合主義と認識していた。

また、この世界には科学技術に優れた旧人類(現代人の系譜)と魔法技術を有する新人類の戦争によって旧人類が滅んだという歴史が存在しており、旧人類の文明(ロボットや宇宙船)がロストアイテムとして登場する。

エルフや獣人といった亜人種も存在しているが、旧人類が戦力として開発した種が野生化したもの。彼ら自身はそれを忘れ去っており、長い寿命も高い戦闘力も「戦奴隷として使役するために与えられた能力」とは知らずに自分たちを上位種だと思い込んでいて、ルクシオンの分析だと祖先より能力は劣化している。

作品の魅力

本作品は、男性向け小説であり、主人公は乙女ゲームの世界のモブに転生した男性である。ただ、作品執筆のきっかけとなったのは、女性向けの「悪役令嬢もの」の作品であったという。同ジャンルは「小説家になろう」の中でも人気の高いのジャンルだが、モチーフ柄女性向けの作品が多く、「男性が楽しむ乙女ゲーの作品があってもいいんじゃないか?」と思い立ったのが発端とのこと。世界観は男性向けのハーレムものの男女を逆転させており、また、そのような女尊男卑の世界になったことについては明確な理由を用意するように意識している。

本作品は「小説家になろう」への投稿作品として発表され、その後商業出版された。ただし、「2作目の悪役令嬢」を新たに登場させるなど、単行本4巻は大幅な書き直しが行われており、第5巻はまったく別の内容となっている。単行本3巻以降のアンケート特典にはIFルート「マリエルート」が掲載されており、6巻時点ですでに2冊分に近い文字数になっている。

2018年からは潮里潤の作画でコミカライズが行われており、2020年2月には小林裕介主演のボイスコミック化が行われた。同年7月には単行本6巻の限定版・特装版の付録として、ドラマCD化が行われている。

評価

本作品は、2019年11月に小説の既刊4巻全巻が重版となっており、2024年4月時点で電子版も含めたシリーズ累計部数は310万部を突破している。KADOKAWAグループの電子書籍サイトBOOK☆WALKERが行った「新作ラノベ総選挙2019」新文芸・ブックス部門3位に選ばれた。また、『このライトノベルがすごい!2020』のランキングでは単行本部門の8位に選出されている。また、2019年10月30日 - 11月10日の「GCノベルズ5周年 ボイスドラマ化投票」で1位となった結果、前述のドラマCD化が行われた。

KADOKAWAのダ・ヴィンチニュースは、ゲーム世界のモブに転生しながらも活躍するという本作品のストーリーについて「自分の力で物語を進めていく楽しさと充実感を存分に教えてくれる」ものだと評した。声優の小林裕介と白井悠介は、本作品の 特徴として、主人公の行動の爽快感を挙げている。

関連作品

  • 三嶋与夢(著) / 孟達(イラスト) 『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』 マイクロマガジン社〈GCノベルズ〉、全13巻
  • 三嶋与夢(著) / 悠井もげ(イラスト) / 孟達(キャラクター原案) 『あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です』 マイクロマガジン社〈GCノベルズ〉、既刊3巻
  • 三嶋与夢(原作) / 孟達(キャラクター原案) / 潮里潤(作画) 『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』 KADOKAWA〈ドラゴンコミックスエイジ〉、既刊12巻
  • 三嶋与夢(原作) / 孟達(キャラクター原案) / 潮里潤(作画) 『乙女ゲー幼稚園はモブに厳しい幼稚園です』 KADOKAWA〈ドラゴンコミックスエイジ〉、全2巻
  • 三嶋与夢(原作) / 福原蓮士(作画) / 孟達(キャラクター原案) / 悠井もげ(原作イラスト)『乙女ゲー幼稚園はモブに厳しい幼稚園です』 KADOKAWA〈ドラゴンコミックスエイジ〉、既刊1巻

アニメ

テレビアニメ「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」は、2022年4月から6月までAT-Xほかにて放送された。第2期は2022年12月に制作が発表された。

ラジオ

音泉にて『乙女ゲー世界はMCに厳しいラジオです』が、2022年4月6日から7月13日まで隔週水曜日に配信された。パーソナリティはリオン・フォウ・バルトファルト役の大塚剛央とオリヴィア役の市ノ瀬加那。

価格:
759円
配信開始日:
2024-04-09 00:00:15
シリーズ:
乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です
出版社:
KADOKAWA
作者:
潮里潤
レビュー:
5

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