ゴルゴ13(213)

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作品内容

『ゴルゴ13』は、さいとう・たかを/さいとう・プロダクションによる日本の漫画。1968年11月から小学館『ビッグコミック』にて連載されている。超一流のスナイパーであるゴルゴ13の活躍を描く劇画である。

主人公は本名不明であり、ゴルゴ13(英称:Golgo 13)のコードネームで呼ばれる超A級スナイパー。作中では「G」や「ゴルゴ」と呼ばれることもある。また偽名として「デューク東郷」を使うことが多い。狙撃だけではなく戦闘・破壊工作などでもほぼ100%の成功率を誇るため、国家・企業・秘密組織などが、特殊な依頼ルートを経由して接触、依頼を行う。依頼対象は個人である人間のみならず集団の排除、物品やあるいは事象の場合もある。ゴルゴ13は個人的ルールにそぐう場合にそれを請け負い、ひとたび請け負ったならいかなる困難があろうと完遂する。しかしそのルールを破ったものは、たとえ相手が誰であろうと制裁を受ける。現実の国際政治を反映しており、実在の政治家などの人物・事件、またはそれをモチーフにしたものが登場することもある。

ほとんどの話は一話完結であるが、場面ごとに複数の「PART」に分割されている。ゴルゴ13の「仕事」が中心となる話がほとんどであるが、話によってはゴルゴ13を追う者や追われる者、巻き込まれる者などからの視点の話もあり、ゴルゴ13自身がほとんど登場しないこともある。

掲載誌・単行本

一次掲載

劇画『ゴルゴ13』は、小学館『ビッグコミック』誌に連載されている。1968年11月発売の1969年1月号に「第1話 ビッグ・セイフ作戦」が掲載され、2020年4月までは一度も休載せず連載を続けていた。しかし、2019年の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、作業時の3密(密閉、密集、密接)を避けるため2020年5月25日発売号より新作を休載すると発表した。休載から1か月半を経て、2020年7月10日発売号より新作の連載が再開された。なお、この休載は外因的なものだったので、さいとう・たかをの事情による休載は、彼が2021年9月24日に死去するまで1度もなかった。

毎回、40ページが掲載される。この項では便宜的に、この一度に掲載されるボリュームを1U(1ユニット、1度分の掲載量の意)と表現している。連載において、一つのエピソードは、複数回の掲載にまたがることが多い。2Uのものは、それぞれ「第○○○話 前編/後編」と、3Uのものは、それぞれ「第○○○話 前編/中編/後編」と、4Uのものは、それぞれ「第○○○話 前編/中編①/中編②/後編」と表記されている。また、1Uのエピソードを「単発」、2Uのエピソードを「前後編」、3Uのエピソードを「三部作」とも呼ぶ。

掲載時の特徴として、次の点が挙げられる。

  • 脚本協力者、作画スタッフ、担当編集者の名を表記している。
  • 最終ページに、カット付きで次回エピソードの予告がつく。
  • 毎回1Uのボリュームで掲載されるが、周年などのイベント時には、過去に1Uの作品が2作同時に掲載されたこともある。また、2Uの長さの作品が一挙掲載されたこともある。
  • 本誌のほか、かつては『ビッグコミック増刊号』にも、1Uの新作が掲載されていた。ゴルゴ13のエピソード一覧や「ゴルゴ学」などでは「増刊○○話」のように表記されている。しかし、2011年12月増刊号掲載の「増刊106話 もうひとりのプロフェッショナル」を最後に、増刊での『ゴルゴ13』の新作の掲載はなくなった(スピンオフを除く)。この増刊掲載の分は、本誌のエピソード数にはカウントされていない。増刊掲載の新作はのべ106話制作されたため、『ゴルゴ13』のリリースされた総エピソード数は、本誌の掲載エピソード数に106を加えた数字になる。

刊行中の単行本・単行本相当の刊行物

別冊ゴルゴ13シリーズ

『ビッグコミック』に掲載されたエピソードは、2年ほど経た後に小学館から『ビッグコミック SPECIAL ISSUE 別冊 特集ゴルゴ13シリーズ』として発刊される。以下、「別冊ゴルゴ」と表記する。発売日は、3・6・9・12月の13日、定価は税込み590円である。サイズはB6サイズで、B5の『ビッグコミック』誌の半分のサイズになる。平綴じでカバーはなく、ザラ紙に印刷されており、いわゆるペーパーバック体裁で、現在のいわゆるコンビニコミックの元祖である。1970年1月1日に第1集が刊行され、最新刊は2024年6月13日発売の「第224集」、収録作は「超絶技巧ツィガーヌ」「鳥を見た」「ラスト・ラフ」の3作。この第224集という数字は、漫画としては最長巻数である。

以下のような特徴がある。

  • 『ビッグコミック』で複数回にわたっていたエピソードは、分断の部分は修正され、つなぎ目は意識されないように工夫している。
  • 新エピソードを一番早く読める(ただし「第320話 BEST BANK」だけは、本誌→増刊→SP→別冊の順で収録された)。
  • 『ビッグコミック』に掲載された順に収録されるわけではない。そのため、「第○○○話」という表示はなくなる。
  • 他の作家による短編漫画が1本、4コマ漫画が1本の計2作が収録される。後者は2000年ごろまで、さいとうのかつての妻であるセツコ・山田による「Sさん一家」が掲載されていた。この他2000年代初頭までは矢野徹による短編小説(SF読み物と表記されているが、実際はお色気要素が強いもの)が掲載されていた。
  • 最終ページの次話の予告は削除され、替わってゴルゴ13のシンボルのロゴマーク(茨の冠を被せられた骸骨の後ろ姿)がデザインされている。
  • 165集以後、脚本協力者の名は表示されているが、作画スタッフと担当編集者の名は表示されない。
  • 「第237話 幻の栽培」と「第266話 バチカン・セット」の2作は、現在の時点で収録されていない。
増刊ゴルゴ13シリーズ

「別冊ゴルゴ」に収録されたエピソードは、約1年ほど経ってから小学館から『ビッグコミック増刊 ゴルゴ13総集編』として発刊される。以下、「増刊ゴルゴ」と表記する。1973年1月15日に第1集が発行され、最新刊は2024年5月13日発売の第215集、「銀翼の花嫁」「死者の手」「癒やされぬ傷」の3作が収録されている。発売日は、2・5・8・11月の13日ごろ、税込み価格620円である。B5サイズのホッチキス中綴じで、『ビッグコミック』と同じ体裁、同じ画面サイズになる。カバーはなく、ザラ紙に印刷されており、増刷はされない。

以下のような特徴がある。

  • 一番大きなサイズで読むことができる。
  • 「ビッグコミック」や「別冊ゴルゴ」に収録された順に収録されるわけではない。
  • vol.155以後、脚本協力者の名は表記されているが、作画スタッフと担当編集者の名は表記されない。
  • 「別冊ゴルゴ」のNo.108に収録された「増刊32話 告発の鉄十字」は、現在の時点で収録されていない。
SPコミックス

「増刊ゴルゴ」に収録されたエピソードは、約1年ほど経ってからリイド社から『SPコミックス ゴルゴ13』として発刊される。以下、「SPゴルゴ」と表記する(リイド社は元々さいとう・プロの出版部門が源流で、SPはさいとう・プロの略)。発売日は、4・7・9・12月の5日。サイズは、いわゆる「おとなマンガ」のサイズで、小学館のビッグコミックスのサイズと同じである。1973年6月21日に「第1集 ビッグ・セイフ作戦」が刊行され、最新刊は2024年7月5日発売の「第213集 重慶の土龍」、収録作は、表題作と「夢の国」「洋上の偽り」の計3作。

以下のような特徴がある。

  • 通常のおとなマンガのコミックスで、いつでも新本で入手できる。紙質も良い。
  • カバー裏表紙に収録エピソードのあらすじが掲載される。
  • 『ビッグコミック』や「別冊ゴルゴ」や「増刊ゴルゴ」に収録された順に収録されるわけではない。
  • 154巻以後、脚本協力者の名は表記されているが、作画スタッフと担当編集者の名は表記されない。
  • 「増刊ゴルゴ」のvol.171に収録された「245話 捕虜交換―スワップ」は、現在の時点で収録されていない。

===== SPコミックスの装丁 =====

装丁はマイナーチェンジが繰り返されている。初版の詳細な装丁は以下の通り。また69巻の奥付発行日は「昭和64年1月8日」と、存在しない日になっている。LPは最終ページの、Cはカバーの略。

  • 1巻は、2巻以降の既刊紹介がなければ初版である。
  • 2巻から5巻、7巻から47巻、68巻から111巻は、カバー袖に列記された既刊の紹介が、その巻手前までであれば初版、その巻以後の分もあれば重版である。
  • 48-67巻は、カバー袖に列記された既刊の一括表記の既刊紹介の巻数が、その巻の手前までであれば初版、その巻以後の分もあれば重版であると推定できる。
  • 6巻から16巻と108巻以降は「初版」の表示があるのでわかる。
SPコミックスコンパクト

「SPゴルゴ」に収録されたエピソードは、約2年ほど経ってからリイド社から『SPコミックスコンパクト ゴルゴ13』として発刊される。以下、「文庫ゴルゴ」と表記する。2002年9月30日に第1集「ビッグ・セイフ作戦」が発行され、最新刊は2024年6月末発売の第172集「大麻ビジネス」、収録作は、表題作と「白団回顧録」「REPOSSESSION 航空機奪還作戦!」の計3作。発売日は、2・6・10月の月末最終日。文庫のサイズだが、リイド社は文庫とは呼ばず「コンパクト」と称している。

以下のような特徴がある。

  • 原則として『ビッグコミック』に掲載された順に収録される。170集までで本誌544話までおよびビッグコミック増刊号掲載作が収録された(ただし一部の未収録作を除く)。
  • 54巻までは収録は完全に掲載順のため、ページ数の都合で「前編」「後編」に分割され、2巻にまたがるエピソードもある(8巻・9巻の『マニトバ』など)。
  • 通常の文庫マンガのコミックスで、いつでも新本で入手できる。
  • 巻末に杉森昌武の書き下ろしによる、作品とエピソードの解説があり、この解説で話数、脚本協力者や作画スタッフ、担当編集者の名前などを記載している。従って、このコンパクトを見れば、あるエピソードが第何話なのか、脚本協力者や作画スタッフは誰なのかを知ることができる。
  • 「SPゴルゴ」の83集に収録された「増刊20話 疫病神の道標」は、現在の時点で収録されていない。
My First BIG

「文庫ゴルゴ」に収録されたエピソードの一部は、小学館のコンビニコミックのMFB (My First BIG) のラインナップで『MFB ゴルゴ13』として発刊される。「MFBゴルゴ」と表記する。1999年7月23日に第1集「VS NATO & VS ARMY」が発行され、最新刊は2024年6月第一金曜発行の第213集「PROPAGANDA~騙されてはいけない!~」、収録作は「アームストロングの遺言」「縄文の火」「落日の死影」の3作。発売日は、1・2・3・5・6・8・10・11月の第1金曜日。発行月がまちまちに見えるが、「SPゴルゴ」が発刊(4・7・9・12月の5日)されない月の同じ初旬に発刊されるパターンとなっている。サイズはB6サイズで、B5の『ビッグコミック』の半分のサイズになる。平綴じでカバーは無くザラ紙に印刷されており、いわゆるペーパーバック体裁である。基本的には増刷はされないが、一部は増刷されたり、あるいは時間をおいてから「アンコール発売」などと銘打って再版されることもある。

以下のような特徴がある。

  • あるテーマや題材に沿って収録作が選ばれている。たとえば、115集はサブタイトル「SILENT MEMORIES」に対し「黒い記憶」「禁じられた言葉」「五十年の孤独」の3作が収録されている。
  • このテーマに沿ったうんちくのコラムが追加される。115集では「催眠術で殺人は可能か!? 無意識世界に潜む恐怖!!」というタイトルで、「禁じられた言葉」の後催眠や「黒い記憶」の自己催眠に関して論考している。
  • 脚本協力者、作画スタッフ、担当編集者の名は表記されない。
SPコミックスポケットエディション

「文庫ゴルゴ」に収録されたエピソードの一部は、リイド社のコンビニコミックの『ゴルゴ13 POCKET EDITION』として刊行される。以下、「ポケットゴルゴ」と表記する。発売日は不定期。文庫のサイズだが、リイド社は「文庫」ではなく「ポケット」と称している。カバーはなくザラ紙に印刷されており、ペーパーバック体裁である。2011年3月24日に第1集「番号預金口座」が刊行され、最新刊は2022年2月刊行のVOL.149「偽装依頼」、収録作は、表題作と「ギザの醜聞」「グアンタナモの地雷原」の計3作。

以下のような特徴がある。

  • 脚本協力者の名は表記されるが、作画スタッフと担当編集者の名は表記されない。

ウェブ版

2008年4月より、Yahoo!コミックにおいて、「The Archive Selection of ゴルゴ13」と題して、傑作選がウェブコミックで配信されている。キンドル版もリリースされている。

制作背景

大人向けの劇画作品を発表する場を求めていたさいとうは、1968年2月末の『ビッグコミック』の創刊号に『捜し屋禿鷹登場!!』で参加した。これに続いて、同年『ビッグコミック』誌上に発表した作品が『ゴルゴ13』であった。

さいとうは現代劇は苦手であり、『ゴルゴ13』を執筆したのは計算の上でのことである。どうせ現代劇にするなら極悪人にしよう、しかし主人公が嫌われてはまずいので、社会悪と言うことにしよう。それなら善悪の解釈は時代によって変わってくるのだから、と言った次第である。また、さいとうはゴルゴは「ヒーロー」ではないともしている。故に堂々としていないという。

やがて、それまでの漫画・劇画の主人公としてはあまりに異質なキャラクターが登場する物語が評判を呼ぶ。特に「依頼者との約束は必ず守る」という信条と、そのための超一流の技量を身に備えた男の中の男(として確立していった)ゴルゴ13の人気は高い。世界情勢や時事問題を巧みに取り込むことによって、冷戦終結で活躍の場を失うのではないかといわれた危惧をも乗り越え、同誌上において2020年5月の初の休載までの実に52年間、ただの一度も連載を休まないという快挙を成し遂げた。またあくまでこれは「仕事」であり、一般の社会人と同様に長期間続けて飽きるとか飽きないとかの話ではない、としている。

制作体制

連載開始当時の1970年代における、劇画のスタイルを踏襲している。また、1ページ目に「超A級狙撃手(スナイパー)のスーパー・アクション!」のキャッチフレーズ(連載初期は「一匹狼の殺し屋を非情なタッチで描く快作!!」)、サブタイトルのタイポグラフィ、あるいはあくまで数話読み切りの漫画で、その集合体として「ゴルゴ13シリーズ」と呼んでいるなど、連載当初からの体裁も固守している。

さいとう・プロダクションでは制作は分業制を採っており、2020年時点で10名超のスタッフが関わっているが、ゴルゴの顔だけは作画スタッフが描きたがらず、さいとう自身が描いている(さいとうによれば「描かされている」)。さいとう曰く、ゴルゴの顔は誰でも描けるような造形であるはずなのだが、他の人物が描くとちょっと違うらしいとのことで、さいとうの知り合いの女性が言うには、さいとうが描く主人公には色気があるそうである。

作品傾向

本作では様々な国家や人物が登場し、体制に属する人間はゴルゴ13を使って敵対国に介入し目的を達成しようとすることが多い。冷戦期は主に米ソが舞台または絡んだ話が中心となっていたが、冷戦後、特に2000年代に入ってからは中国を題材にした話が急増している。中国は冷戦中は(作中の立ち位置的には)善玉または単なる依頼人であったことが多かったが、2000年代に中国の台頭や反日デモの頻発化が顕著になると、標的側や、依頼人側に回ったとしてもゴルゴのルールに反し制裁を受ける、といった傾向が多くなっている。

作品にリアリティを出すため、さいとうは舞台となる街の描写、特に“街の匂い”にまで拘っていた。インターネットがない時代、特に当時日本では情報が少なかったアフリカの空港などの風景もリアルに描かれているが、資料が手元にない場合はまずその国の大使館に問い合わせ、それでも収集が難しい場合はその国に行くという一般人を探し出し、訪問ついでに作画に必要な風景を撮影してきてもらうなどして描いた。1986年以降に起こった歴史的な大事件では天安門事件やベルリンの壁崩壊などはほぼ全て描いている。

ゴルゴ13の中でも最大の謎とされるゴルゴの生い立ちに迫る『ルーツ編』は、2017年までに7回行われている。ルーツ編をやると売れるので編集から頼まれる部分もあるが、さいとう自身も楽しんで描いていると述べていた。ただ、さいとう自身はどのルーツが本当なのかは考えないようにしていると述べていた。

最終話について

『ビッグコミック』での連載開始当初、さいとうは『ゴルゴ13』を10話で終了させる予定だった。殺し屋を主人公にしても、その殺しの手段を使い切ればネタ切れになってしまうだろうと考えていたためである。

さいとうは生前から『ゴルゴ13』の最終話はすでに考案していると述べていた。また「最終話は20代のころに考えたため、当時考えたコマ割りまで全て鮮明に覚えている」とも述べている。一部には執筆済みの原稿が金庫に隠されているという噂もあったが、本人は否定していた。また、「最終話の内容については自分以外に(当時の)キャップ(=作画チーフ)2人にしか教えていないが、その2人は既に亡くなってしまった」と述べ、結局は最終回の内容について知る者は、さいとう本人だけとなっていた。また「ゴルゴは書き始めたときは32歳だったので、ゴルゴは現在82歳…」と最終回の“ヒント”をゲストとして出演したテレビ番組の中で語っている。

さいとうプロでアシスタントを務めた漫画家の伊賀和洋も、さいとうが箝口令を敷いた上でアシスタント数名に対して最終回の構想を説明したことがあると証言している。その内容とは、狙撃を終えたゴルゴ13が道を歩いていたところ、偶然財布を狙ったコソ泥に刃物で刺されそのまま死ぬというものであった。当時、主人公がこのようなあっけない死に方をするという展開は斬新なものと考えられていた。しかし後年の1973年に、TVドラマ「太陽にほえろ!」第52話「13日金曜日マカロニ死す」で萩原健一演じるマカロニ刑事こと早見淳が事件解決後に小銭狙いの通り魔に刺されて死ぬというまったく同じ展開が描かれたことにより、さいとうはこの最終回を描くことを断念したという。ただし、伊賀は「さいとう先生は当然その後更にすごい最終回を構想したはず」と述べ、その後別の最終回の構想が作られた可能性を示唆している。

一方で長期連載に発展したことで、さいとうは「(連載が)ここまで長くなると、もう描き手のものじゃない、読者のものでもある」など、最終話が書かれることは事実上無いという発言を行うようになった。「いま最終回を描いてしまえば、もうゴルゴ13は描けなくなる」、連載50年を迎えたインタビューでも、「最終回は私の頭の中にあるけれど、私の一存では終われない。引き受けてくれる人がいれば後を託します。結末もちゃんと伝えてね」と語っている。

2021年9月24日にさいとうが死去し、存命中に最終回が執筆されることはなかった。しかし、さいとうは存命中から「自分抜きでも『ゴルゴ13』は続いていってほしい」という、『ビッグコミック』編集部から「分業体制の究極」と評される希望を持っており、さいとう・プロダクションの作画と脚本スタッフ、『ビッグコミック』編集部により連載は継続される。さいとう没後の作品は、「原作 さいとう・たかを / さいとうプロ作品」の作者表記で発表されている。

ゴルゴ13のモデル

作者のさいとう・たかをによれば、連載当初のゴルゴ13の容姿のモデルは、映画版にも主演した高倉健。また、他人が後ろに立つと殴る習性は、さいとうの兄が映画館から出てきた時に「足を踏まれた」と後ろの人を殴ったエピソードが元となっている。連載開始当初はゴルゴ自身の台詞を多く記載していたが、「あまり喋らせるとボロが出るので」依頼人などゴルゴ以外の登場人物に喋らせることにした。ゴルゴの台詞は次第に減っていき(ふきだしは「…………」が多い)、寡黙なキャラクターが定着した。

「東郷」という姓は、中学時代の恩師である担任の教師の名前から拝借している。

評価・影響

受賞

  • 第21回(昭和50年度)小学館漫画賞青年一般部門受賞。
  • 第31回(平成14年度)日本漫画家協会賞大賞受賞。
  • 第50回(平成16年度)小学館漫画賞審査委員特別賞受賞。

他作品への影響

ゴルゴ13は日本において広く知られた漫画(劇画)キャラクターの一人であり、狙撃手の代名詞といっても過言ではない。その特徴的な風貌もあって、数多くの漫画の中でパロディ・キャラクターが登場している。お笑い番組でもしばしばパロディ化される。またCM・広告にも多数出演し、ゴルゴの強さの裏には数々の商品が関係していることが明らかになっている(例:「白い肉体」)。

愛読者

テレビ番組『雨上がり決死隊のトーク番組アメトーーク!』(テレビ朝日)では、「ゴルゴ13芸人」という企画では、企画をプレゼンしたヒデ(ペナルティ)、その実現をプロデューサーに勧めた東野幸治のほか、ケンドーコバヤシ、山根良顕(アンガールズ)、チャド・マレーンが、ゴルゴ13に関するエピソードやシーンについて司会の雨上がり決死隊(解散)と共にトークを行った。

オートレースでは選手が自分の車両を保有し愛称をつけているが、土屋栄三は歴代の保有車に、順に「スーパーゴルゴ」「S・ゴルゴ」「ゴルゴ13」「Gサーティーン」と命名している。

競走馬にも『ゴルゴ13』に由来する馬がいる。

  • アドマイヤゴルゴ - 馬主:近藤利一、鹿毛・牡、冠名+ゴルゴ13より、生年月日:2004年2月16日
  • メイショウゴルゴ - 馬主:松本好雄、栗毛・牡、冠名+ゴルゴ13より、生年月日:2004年4月14日

批評など

呉智英は『週刊宝石』に連載していた漫画の評論にて、「『穀物戦争 蟷螂の斧 汚れた金』はゴルゴ13が登場せずともトリックが成立し得るストーリーだが、『ゴルゴ13』の主役であるため登場させた」と指摘した。するとゴルゴファンから抗議が殺到し、呉は再反論するはめになった。一連のやりとりは、呉智英著『バカにつける薬』のP104からP124『鹿を撃つ』に収録されている。この論争は『THE ゴルゴ学』内で竹熊健太郎が要約して触れている。

1997年8月に発表され、SPコミックス版第126巻、文庫106巻に収録されている『HAPPY END』では、破壊工作員のアクションヒーロー『ゲーリー・ライトニング』が活躍する人気コミック作品の作家が自らの連載に辟易するという、さいとう自身のセルフパロディ的なエピソードが描かれる。その作家はゴルゴへ依頼を行う会談の中で「何度やめようとしたか分からない」「周囲は許してくれなかった」「何度も作品の中で(ゲーリーを)殺してやろうと考えた」「(ゲーリーは)もうトシさえとりはしない!」と語った。後年、『ビッグコミック』誌上にて、同じく長期人気連載を持っていた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の秋本治と対談企画が行われた際にこのエピソードが取り上げられると、さいとうは「ま、それ、本音ですね(笑)」とコメントしている。

その他

  • 『ゴルゴ13』の35周年、著者・さいとう・たかをの画業50周年となる2001年(平成13年)には、『H.13ゴルゴイヤー』というキャンペーンが行われた。
  • 2013年(平成25年)はビッグコミックの連載45周年、500話突破を記念して『ゴルゴイヤー』のキャンペーンが行われた。
  • 第487話「バイルス・チェイス」では「日本人はサインの代わりに契約書に判子を押すのだ」「メールでは困る」という台詞がある。公益社団法人全日本印章業協会はこのセリフを話すゴルゴをイメージキャラクターとして用いたグッズを頒布している。
  • 朝日新聞社発行『AERA』は実在の人物の半生に迫る「現代の肖像」というルポルタージュ企画が継続されている。2006年7月24日発売の1000号記念号2では、フィクションの人物である「ゴルゴ13」が取り上げられ、杉森昌武が執筆を行った。
  • 2004年ごろ、大日本印刷の会社紹介パンフレットにゴルゴ13が使用された。表紙のほか、右ページに本編の台詞を改変した漫画、左ページに解説が入る。コミックスなどを印刷しているのは競合の凸版印刷である。
  • 外務省は2017年、海外ビジネスに関わる中堅・中小企業向けに、ゴルゴ13が危機管理について指南する漫画付きマニュアルを製作した。
  • 2003年に放送されたテレビ番組『トリビアの泉 〜素晴らしきムダ知識〜』(フジテレビ系)の中の「トリビアの種」コーナーにて実施された全国統計調査によると、「理容店によく置かれている漫画」の第1位である。調査方法は札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の7大都市各300店舗、計2100店舗を回って同じタイトルの漫画は何冊あっても1つとしてカウント、本作は337店舗に置かれていた。これは一話完結で待ち時間でも読みやすいからであると同時に、作者が理髪店出身という経緯から親しみがあるという店も存在する。

登場する兵器・用語

以下、登場する兵器や用語について記述します。

G

各国の機関が会話する時などに用いるゴルゴ13の暗号名(コードネーム)。

ゴルゴ13のM16

ゴルゴが愛用するM16で、「傑作・アサルトライフル」では銃職人ベリンガー(アニメではデイブ・マッカートニー)がM16の強化を施す。最長射撃距離600m。「傑作・アサルトライフル」と「激突! AK-100 vs. M-16」ではM16の象徴がゴルゴであるために、ゴルゴが命を狙われることがある。後段のM16も参照。

マッジ・ペンローズの遺稿

第43巻147話「ミステリーの女王」、第51巻179話「毛沢東の遺言」ミステリー作家マッジ・ペンローズが執筆する予定であった小説『Gと呼ばれる男』の一部で、ゴルゴの出生や秘密を詳細に書いた原稿とされているが、作中では内容が明らかにされていない。

第四帝国

初出は第52巻182話「沸騰」ネオナチの中でも最も強いとされる勢力。各種企業を経営して、資金面も信じがたいほど多いといわれている。ヒトラーの第三帝国は13年しか続かなかったが、自分たちは千年続くと豪語している。本来は米ソが衝突した際に間をついて最後の戦いを挑むということだったが、ゴルゴ13を排除するということになった。しかし、ゴルゴによって崩壊する。

ロックフォード財閥

初出は第63巻217話「ロックフォードの野望」(アニメ版第44話)世界最大の財閥。ロックフォード家の資産は、公表されているだけでも6千500億ドル(約145兆円)だが、実際にはこの数百倍あると考えられる。アメリカ大統領、ソ連書記長でさえ、ロックフォード財閥には勝てない。ロシア革命において、莫大な資産援助を赤軍に与えたことや、旧ソ連政府は誕生の瞬間において、既にロックフォードの手の中にあったことや、アメリカ国内で常に宿敵だったニクソンをウォーターゲート事件で葬りさったのは、おそらくロックフォードと考えられる。ユダヤの雄ロスチャイルドは、現代ではロックフォードの軍門に下りヨーロッパを分割統治する存在に成り下がるなど、世界に冠たる巨大企業のほとんど全てがロックフォードの所有及び支配下となっている。なお、ロックフォードが世界を支配しているという設定は、「ロックフォードの野望」「ロックフォードの野望 謀略の死角」とゲーム『ゴルゴ13 ファイルG13を追え』の3作品のみの描写であって、他の作品にはこの設定は存在しない(ただし、金とコネに物を言わせてゴルゴを上から支配しようとする存在は他作品にも出てくる)。また、現実においても世界経済を影で牛耳る財閥の噂はあるが、陰謀論の類いであるとされる。また、モデルとなったロックフェラー家は作中にも登場している(「呪術の島」「ブラックジャイアント伝説」)。デジタルコミック『ゴルゴ13 カーライルの野望』では「カーライル財閥」として登場。

XST

第74巻231話「見えない翼」ロッキード社が開発したステルス戦闘機F-19の原型機。設計はクラレンス・ベッカー博士率いる開発チーム「スネーク・ワーク」が担当し、1977年に3機が完成した。テスト飛行は当初グルームレイク空軍基地で行われ、1機が事故で墜落、1機がKGBの工作員による奪取を阻止するために撃墜された後に、残る1機はホロマン空軍基地に隣接する秘密基地「サム」に移送された。XSTの奪取に失敗したKGBは、この残る1機の奪取もしくは破壊とベッカーの暗殺をゴルゴ13に依頼する。機体形状はレベル社のプラモデルなどに見られるF-19の形状に酷似している。なお、現実に計画されていたステルス機はF-19ではなくF-117であり、XSTはハブ・ブルーに相当する。

F25

第111巻342話「偽空座標X」米国戦略計画統括局(ARPA)・人工知能研究室(AI・DEV)のラズベリー中尉が主導となって開発した、人工知能攻撃システムを搭載したアメリカ軍の次期ステルス戦闘機。ソフトウェアを省いた機体のみを国外へ販売することも計画されている。開発コードはATX、価格は1機2億ドル以上。試作機の試験はRE12空軍基地で行われている。単発・クリップドデルタ・双垂直尾翼の単座戦闘機で、水平尾翼の代わりにベントラルフィンを有している。F-15の200倍のステルス性とF-14の5倍の迎撃能力を持っており、人工知能がパイロットに対して攻撃指示を行うほか、人工知能主導の

価格:
770円
配信開始日:
2024-07-05 00:00:17
シリーズ:
ゴルゴ13
出版社:
小学館
作者:
さいとう・たかを

DMMブックス ポイント還元 の作品

アクション の作品

コミック (電子書籍) の作品

さいとう・たかを の作品

ミリタリー の作品

小学館 の作品

漫画賞受賞 の作品

現代史の中のゴルゴ13 の作品